尼崎市立地域研究史料館

史料館について

平成18年度地域研究史料館事業報告『地域史研究』第37巻第2号(通巻第105号)掲載稿を一部修正

尼崎市制90周年となる平成18年度、市は90周年記念事業に取り組みました。地域研究史料館は、これらの記念事業の一環として、新「尼崎市史」の最初の刊行物である『図説尼崎の歴史』を刊行したほか、秋に開催した「尼崎の歴史展」の主たる所管課となるなど、例年にも増して多様な事業を実施した一年となりました。

史料の収集・整理・公開

平成18年度も、引き続き各種史料の調査・収集・整理・公開に努めました。新たに整理・公開した古文書・近現代文書類のうち、おもなものについては本サイトの誌上レファレンスで紹介しています。平成18年度末現在の館蔵史料の概要については、以下のページをご覧ください。

地域研究史料館収蔵史料(平成19年3月末現在)

史料の利用相談(質問・調査へのレファレンス・サービス等)及び、史料複写サービスの実績は次のとおりです。

平成18年度利用相談
合計 来館 電話 その他
1,645件 1,155件 362件 128件
1,962人 1,450人 378人 134人
平成18年度史料複写
件数 枚数
661件 17,625枚

なお、史料の公開・利用サービスの向上をはかるべく、館のスタッフが独自に構築したオープンソース・データベースによる館蔵史料検索システム及び、市民ボランティアの皆さんの協力を得て入力・構築したウェブ版尼崎地域史事典“apedia”(アペディア)を、神戸大学文学部地域連携センターの協力を得て、インターネット上において試行的に公開しました。平成18年7月20日に公開を開始しましたが、サーバーのトラブルにより約2週間で運用を休止。結局、本格的な運用は、レンタルサーバーを確保して平成19年度から行なうことになりました。

ボランティア

平成18年度も、従来からの「『尼崎市史』を読む会」や「尼崎の近世古文書を楽しむ会」などの企画・運営、『市報』のデータ入力作業、史料調査、写真資料類の整理、デジタル化をはじめとする多様な作業を、史料館ボランティアの皆さんによる積極的な取り組みによって順調に進めることができました。
16年度から実施している「尼崎市広報課移管写真」の整理作業は、前年度に開始したネガフィルムの移し替え作業(専用保存ケースから中性紙で作製した仮収納ケースへの移し替え)を、18年度中に終えることができました。その後は、ベタ焼きを貼り付けたスクラップブックの仮目録編成作業や、データ入力作業にあたっていただいています。18年度の「尼崎市広報課移管写真」の整理作業には、6人のボランティアの方に参加していただき、1年間の作業人数/日数は、延べ81人/43日(うち11日は共同作業日)となっています。
なお、前年度にボランティアの方からご指摘いただいたネガフィルムの劣化現象については、専門業者に委託してクリーニングを完了しました。これらの経験を踏まえて、後述する全国歴史資料保存利用機関連絡協議会の資料保存研修会兼近畿部会第87回例会に参加し、「尼崎市立地域研究史料館における写真資料の保存・活用とボランティア」と題した報告を行ないました。実際に写真整理にあたるボランティアの皆さんにもこの研修会にご参加いただき、意見交換に加わっていただきました。
また、これも後述する尼崎市制90周年記念事業「尼崎の歴史展」についても、会場の受付、展示解説、会場の設営・撤去作業などに、計34人のボランティアの方の協力を得ました。
写真整理作業などが徐々に進展するなか、ボランティア作業の成果報告・公表の具体化が、大きな課題となってきました。また、史料館のさまざまな作業に多くのボランティアの方々が参加されていることから、ボランティアの緩やかな組織化や、ボランティア・コーディネーター的な機能をどうしていくのかということも、検討課題のひとつとなってきています。皆さんの善意を、さらに有効に活かせるシステム作りに、引き続き取り組んでいきたいと考えています。

新「尼崎市史」編集事業

平成8年度以来取り組んできた新「尼崎市史」編集事業の最初の刊行物として、平成18年度、『図説尼崎の歴史』を刊行しました。このため平成18年度は、主として『図説』の編集校正作業を実施しました。
次の5人の専門委員の指導のもと、史料館が編集事務局として、各執筆者とともにこの作業にあたりました。

尼崎市立地域研究史料館専門委員
山崎隆三 大阪市立大学名誉教授、名城大学名誉教授、日本近世・近代史
田中文英 大阪女子大学名誉教授、仏教大学文学部教授、日本中世史
市沢哲 神戸大学助教授、日本中世史
岩城卓二 大阪教育大学助教授、日本近世史
佐賀朝 桃山学院大学助教授、日本近代・現代史

実施した会議等は次のとおりです。

編集委員会 1回
専門委員会議 2回

当初は、後述する市制90周年記念「尼崎の歴史展」に間に合うよう9月刊行の予定でしたが、編集校正作業が予想以上に難航したことと、歴史展などの周年事業準備のため事務が輻輳したことなどから刊行が遅延し、結局平成19年1月末付けの刊行となりました。
本書は計2,500冊を刊行し、18年度中に市内の公共機関・学校、全国の文書館・図書館・大学等研究機関などに1,100冊を配布、594冊を有償頒布しました。
各分野の執筆者計41人が最新の研究成果をもとに、原始・古代から現代までの尼崎の歴史を図説形式で解説した本書は、昭和40年代前半に刊行された『尼崎市史』通史編以来37年ぶりの尼崎の通史となります。内容的にも、わかりやすく親しみやすいと各方面から好評であり、新聞各紙にも好意的に取り上げられました。

尼崎市制90周年記念事業

尼崎町が、立花村の一部(東難波・西難波)を加えて市制を施行したのは、大正5年(1916)4月1日のことです。この市制施行の90周年を記念して、平成18年度に市が実施したいくつかの事業のうち、地域研究史料館は「尼崎の歴史展」及び記念講演・シンポジウム企画を主たる所管課として担当しました。

尼崎の歴史展

尼崎の歴史展チラシ

この展示会は、市制90周年を機に、市内外の方々に尼崎の歴史及び、歴史を活かしたまちづくりなどの活動に取り組む市と市民の姿を知っていただこうという意図のもとに、企画したものです。

開催期間
平成18年9月29日(金)~10月22日(日)
会場
尼崎市総合文化センター美術ホール4階
主催
尼崎市・尼崎市教育委員会・のじぎく兵庫国体尼崎市実行委員会
協力
神戸大学文学部地域連携センター
所管課
総務局総務部 地域研究史料館(主たる所管課)
教育委員会社会教育部歴博・文化財担当(第1部のうち古代・中世の展示を中心に担当)

展示構成

第1部のうち近世のコーナー

第1部のうち近世のコーナー

第3部

第3部

第1部
「尼崎のあゆみ」土地形成及び原始古代から近世までの尼崎地域の歴史
第2部
「近代・現代の尼崎-尼崎市の誕生前史と市制90年-」尼崎市制90年を中心とする、近代尼崎地域の歴史
第3部
「市民がつくる地域の歴史と歴史コンテンツ」地域研究史料館事業をはじめ、本市の歴史関連の事業に従来からボランティア協力をしていただいている市民の皆さんによる、歴史やまちづくりをテーマとした企画展示及び、マップ・パネル・本・デジタルデータなどの展示紹介
〔参加団体〕
水堂地区の皆さん「水堂立花いまむかしの姿」(9月29日~10月9日)、富松城跡を活かすまちづくり委員会「中世の富松城跡をまちづくりに活かすとともに国の史跡指定をめざす!-過去・現在・未来」(10月11日~22日)、尼崎戦後史聞き取り研究会「地図作りを通して歴史を楽しむ」、あまがさき市民まちづくり研究会、自然と文化の森協会ほか
動画・コンテンツコーナー
尼崎市政番組たうんタウンあまがさき「尼崎市の誕生前史と市制90年の歩み」及び、今回の歴史展用に新たに作成した「昭和30・40年代の尼崎」のビデオ放映、「ウェブ版尼崎地域史事典『apedia』等のデモンストレーション

イベント

  • 尼崎ボランティア・ガイド養成セミナー受講生展示解説
    実習 10月5日(木)午後2時~4時 参加者12人
    講師 中村光夫(地域研究史料館)
  • 子ども向けワークショップ「尼崎の土地の成り立ちと歴史を学ぶ」
    10月7日(土)午前10時~12時 参加者30人
    解説 田中真吾さん(神戸大学名誉教授)、市澤哲さん(神戸大学文学部助教授)、河野未央さん(同地域連携センター研究員)及び同学部学生4人ほか
  • 富松城跡についてのプレゼンテーション
    10月11日(水)午後 参加者10数人
    企画・実施 富松城跡を活かすまちづくり委員会
    解説 加藤由紀子さん・松阪有香さん(以下参照)
  • 城内ミニウォーク
    10月14日(土)午前11時スタート 参加者23人
    あまがさき市民まちづくり研究会及び城内まちづくり懇話会が、旧尼崎警察署建物を会場として開催した城内フォーラム企画の一環として実施
通算来観者数
延べ3,202人
ボランティア
従前から史料館事業にご協力いただいているボランティアの方及び、尼崎ボランティア・ガイド養成セミナー受講生の方 計34人

この展示会の準備ため、史料館は平成17年度後半から歴博・文化財担当及び神戸大学文学部地域連携センターとの検討協議を重ね、それぞれ分担して展示物の作成準備を進めました。おもな展示物は、各機関が所蔵している古文書・近現代文書・歴史的行政文書・埋蔵文化財・写真・地図などの歴史資料や、解説パネルなどです。
尼崎の本格的な通史展示としては、近年例のないものであったことに加えて、展示会前半がのじぎく兵庫国体開催期間中であり、国体参加者向けのウォークラリー会場として展示会場が位置付けられたこともあって、多くの来観者がありました。市民の皆さんにとって親しみやすい、身近な地域の歴史を取り上げた展示であったことに加えて、第3部に市民の皆さん自身による展示コーナーを設けたことや、受付・展示解説などに多くの市民ボランティアの方が協力してくださったことなどもあって、会場のあちこちで来観者の方々が展示を見ながら想い出話などを談笑されるなど、展示会場は連日わきあいあいとした雰囲気に包まれました。そういう意味でも、多少ユニークな展示会になったのではないかと思います。

講演・シンポジウム「市民にとっての尼崎の歴史」

市内外の皆さんに、尼崎の歴史について学び親しんでいただくという意図のもと、尼崎工業会青年経営研究会の協力を得て、前記の展示会最終日に次のような催しを開催しました。

開催日時
平成18年10月22日(日)午後2時30分~4時30分
会場
ホテルニューアルカイック2階あやめの間
主催
尼崎市・(協)尼崎工業会青年経営研究会
後援
(協)尼崎工業会・兵庫県中小企業団体中央会

実施内容

講演
漫才師「ちゃらんぽらん」・画家 大西浩仁さん
シンポジウム
コーディネーター
市澤哲さん(神戸大学文学部助教授)
パネラー
大西浩仁さん、岩城卓二さん(京都大学人文科学研究所助教授)、羽間美智子さん(尼崎郷土史研究会)、太田垣恒世さん(尼崎戎神社禰宜)
参加人数
110人

『尼崎市史』を読む会

『尼崎市史』を読む会は、平成17年8月以降、会場を中央図書館セミナー室から地域研究史料館に移して毎月第3木曜日の午後6時から7時30分まで、その都度参加者がテーマや話題を持ち寄るサロン的な例会を開催してきました。
平成18年度も、この方向に沿って4月から8月まで例会を開催。このうち、4月の第135回は前記の「尼崎の歴史展」のプランを例会の場で説明して第3部市民参加コーナーへの参加を募り、6月の第137回には同展用に編集する昭和30~40年代の尼崎を撮影した動画の内容検証を例会の場で行ない、さらに7月の第138回には同展第1部冒頭に予定している「航空写真からの地形読み取り」をテーマとするなど、「尼崎の歴史展」実施準備という位置付けの例会を意識的に多く設定しました。
そのうえで、「尼崎の歴史展」開催や『図説尼崎の歴史』編集のため史料館の事務が輻輳していることを理由にしばらく『尼崎市史』を読む会を休会し、『図説』刊行後に同書をテキストとした例会を再開することとしました。
第135回から第139回まで5回開催した例会の参加者は、延べ62人でした。

第一巻分科会

この会は「『尼崎市史』を読む会」参加者有志によって運営されています。尼崎の古代・中世史に関係する文献や論文を読み、自由な意見交換を通じて理解を深めようとしている研究会です。
毎月第1金曜日の午後6時から7時30分まで、18年度は史料館にて12回開催し、延べ参加人数は70人でした。日本中世史の研究者・田中勇さんがボランティアとして会の指導・助言をし、報告は基本的に参加者の輪番です。
前年度中に網野善彦著『日本の歴史00巻「日本」とは何か』(講談社、2000年)を読了したので、新年度からは同氏著『平凡社ライブラリー・日本中世の百姓と職能民』(平凡社、2003年)をテキストとし、18年度は「第1部 百姓」の1・2を読了しました。
第1部の「1「平民」について」では、戸田芳実氏が古代から中世への移行期、10,11世紀に限定して指摘した「平民百姓」の身分的特質-国・権門・在地領主からの「人身的自由」-を基点として、12世紀以降の「平民」の身分的な特質が論じられています。そして「2 百姓の負担」では、年貢・上分・公事を負担することが「平民百姓」の国・権門・在地領主からの「人身的自由」の根拠となる理由が、その起源となる古代から12世紀、さらには近世への展望を含めて論じられています。
例会ごとの会員の報告部分に関してチューターの田中氏から研究史上の解説を受けながら、読み進めました。戸田・大山喬平・河音能平3氏を中心とする当時の“京都学派”の「領主制説」と東京大学・大阪大学などの研究者の「反(非)領主制説」の相違点や、中世と古代の時代区分の画期に関する問題など、研究者間の視点の相違も知ることが出来ました。ハードな解説内容に苦しみながら、「中世的世界」を理解しようという地道な活動が続いています。

自主グループ

尼崎戦後史聞き取り研究会については『地域史研究』第37巻第1号掲載のレポートを、また西摂研究会については第38巻第1号掲載のレポートをご覧ください。ここでは尼崎の近世古文書を楽しむ会の取り組みを紹介します。

尼崎の近世古文書を楽しむ会

尼崎の近世古文書を楽しむ会は、史料館が保存・公開する尼崎関係の古文書をテキストにして、近世のくずし字の読解に習熟することと、尼崎地域の近世史に親しむことを目的としています。例会の運営は参加者が中心となって行ない、テキスト解読の成果は参加者有志がデジタル入力して史料館に保存しています。将来的には、解読文のデータベースとして公開する構想のもと、史料館はテキストの選定、解読・内容調査等において助言・協力しています。
楽しむ会は、上級2クラス、初級1クラスで構成されています。上級クラスでは、読解経験十数年の人が中心となり、とくに講師は定めずに運営されています。初級クラスでは、上級クラス出身の石井進さんにボランティアで講師をお願いしています。初級・上級クラスとも、参加回数に制限はありません。
開催時間は、いずれのコースも午後1時半から3時半までの2時間、18年度の実績は次のとおりです。

日曜上級 第2・第4日曜 22回開催 延175人
金曜上級 第2・第4金曜 24回開催 延170人
金曜初級 第1・第3金曜 20回開催 延191人
合計 66回開催 延536人

会場の会議室がせまく、1クラス定員は13名と少数ですが、参加者相互の活発な質疑・意見交換により解読が進められています。
金曜上級クラスでは、「神崎橋詠草」「尼崎青山家給人下落物語」「旗本長谷川氏領大庄屋忌避騒動関係文書」を読みました。「神崎橋詠草」は、神崎宿の片口酒店の主人が京都の公卿で歌人の武者小路徹山実純に依頼して文政7年(1824)に編んだ和歌集、「尼崎青山家給人下落物語」は、尼崎藩主であった青山家家中の給人が本来の騎馬武者としての格式を失ってしまったことを慨嘆した書です。「騒動関係文書」は、尼崎市域などの知行所から江戸に越訴した事件の経過を記録した文書を中心に解読しました。
日曜上級クラスでは、前年度から引き続いて西新田村旧庄屋家・小西光信氏文書「諸事願之控え帳」の解読を進めました。18年度は天明2(1782)・3・6・7年、寛政元(1789)・3年の綴りを解読しました。年貢や水利普請・人別関係の諸願書をはじめ尼崎藩への各種の届け書控えなど、村の生産・生活全般にわたる記録です。
初級クラスでは、昨年度から引き続き源光寺文書の元禄3年(1690)「杭瀬村西光寺・家の記録」をテキストにしました。同文書は近世前半期の青山氏領時代のもので、近世後期の史料が大半を占める尼崎市域伝来文書群のうちでは希少な史料です。寺社宛ての幕府触や尼崎藩への届け書などの控えが中心ですが、西光寺の本山である西本願寺との往復文書もあって宗教用語の解読に苦労しています。石井講師の指導による文字解読と、解読上の基礎的解説が参加者に好評です。

市民団体・研究機関等との連携・協力

市民、地域団体などの要請による出講
あまがさき市民まちづくり研究会「夏休み子ども歴史絵画教室」、第6回猪名川流域歴史研究者交流会
尼崎市役所・他行政機関・公的機関からの要請による出講
ちかまつ・文化・まち情報課「尼崎ボランティア・ガイド養成セミナー」、尼崎市高齢者生きがい促進協会「総合学習教室」「市立総合老人福祉センター講座」、尼崎市立教育総合センター「社会科教育研修講座」、園田学園女子大学「公開講座」、神戸大学文学部「現代的教育ニーズ取組支援プログラム・地域歴史遺産保全活用基礎論」、全国歴史資料保存利用機関連絡協議会「資料保存研修会兼近畿部会研究例会」
調査事業・催し等への史料提供協力
国土交通省近畿地方整備局神戸港湾事務所によるパンフレット「尼崎みなとまち絵地図」作成への編集委員派遣と編集協力・史料提供、富松城跡を活かすまちづくり委員会「(仮称)富松城に関する案内マニュアル」編集協力・史料提供、「つかぐちの祭2006 みんなでつくる街、つかぐちふれあいの祭典」(事務局・NPO法人ASUネット)へのパネル提供、県立尼崎高等学校生徒による調査「中世の城館富松城について」への協力、兵庫県立人と自然の博物館企画展「共生の風景~古写真にみる暮らしと自然~」への写真提供、神戸大学文学部博物館実習(事前実習)受け入れ

このうち全国歴史資料保存利用機関連絡協議会による「資料保存研修会兼近畿部会研究例会」は、「劣化する戦後写真-地域資料としての行政所蔵写真の危機-」をテーマとして、平成19年1月25日(木)に尼崎市総合文化センター会議室で開催されたものです。全国歴史資料保存利用機関連絡協議会(略称・全史料協)とは、全国の文書館施設等の協議会組織であり、尼崎市立地域研究史料館も機関会員として加盟しています。同会は、史料保存・文書館事業をめぐる調査研究や実務情報の交流・交換・研修などを継続的に実施しており、今回の研修会兼研究例会もその一環として開催されたものです。当日は、京都造形芸術大学の大林賢太郎助教授を招いて基調講演をいただき、史料館からは辻川敦と西村豪が「尼崎市立地域研究史料館における写真資料の保存・活用とボランティア-広報写真の史料館受け入れを通じて-」と題して尼崎での経験を報告し、各地から来場された計110人の参加者とともに、写真資料の保存と活用について意見交換を行ないました。
また、県立尼崎高等学校生徒による調査「中世の城館富松城について」は、同校生徒である加藤由紀子さん・松阪有香さんのおふたりが調べ、その成果をもって平成18年11月4日(土)に米原市で開催された全国中・高校生歴史サミット2006(中央大学同実行委員会主催)に参加したものです。加藤さん・松阪さんは文献調査に加えて、富松町にも足を運んで地元住民の皆さんへの聞き取りを行ない、さらに遺跡の保存清掃活動にも参加するなど熱心に取り組んだ結果、同サミットにおいて全国最優秀賞を受賞することができました。このおふたりに、「尼崎の歴史展」におけるイベントのひとつ「富松城跡についてのプレゼンテーション」を行なっていただいたことは、すでに市制90周年記念事業の項目でふれたとおりです。
こういった各種市民団体等との連携・協力に加えて、市が市民に呼びかけて組織した「城内地区まちづくり懇話会」と「中国街道を活かしたまちづくり懇話会」に対して、平成17年度に続いて史料館からも職員が出席し、それぞれの会における意見交換や学習活動に参加しました。城内地区のまちづくりについては、懇話会の開催と並行して市の関係部署による庁内検討会議において検討が行なわれた結果、計画案が報告書としてまとめられました。史料館の将来的な城内地区への移転等も盛り込んだ、計画内容となっています。
さらに、歴史遺産保存・活用の分野においては、従前に引き続き、神戸大学をはじめとする大学等専門研究機関との連携事業を継続しました。神戸大学は、歴史学会のボランティア団体「歴史資料ネットワーク(略称・史料ネット)」による阪神・淡路大震災以来の被災史料保全活動などをふまえて、平成14年度に文学部地域連携センターを設置し、歴史・文化の分野における自治体・市民団体等との連携に努めています。平成17年度に引き続いて、同大学の実施する現代的教育ニーズ取組支援プログラム「地域歴史遺産の活用を図る地域リーダー養成事業」に事業協力者を派遣したほか、同プログラムのリレー講義にも職員が非常勤講師として出講しました。