尼崎市立地域研究史料館

史料館について

平成21年度地域研究史料館事業報告

1 史料の収集・整理・公開

平成21年度も、引き続き各種史料の調査・収集・整理・公開に努めました。平成21年度末現在の館蔵史料の概要は、以下のページ掲載の一覧表のとおりです。

地域研究史料館収蔵史料(平成22年3月末現在)

また、史料の利用相談(質問・調査へのレファレンス・サービス等)および、利用者向けの複写サービスの実績は次のとおりです。

平成21年度利用相談
来館 電話 e-mailその他 合計
880件 449件 185件 1,514件
1,080人 463人 203人 1,746人
平成21年度史料複写
(撮影を除く有料複写サービスの実績)
件数 枚数
589件 19,156枚
相談利用人数の変化

古文書・近現代文書類

平成21年度、新たに87件1,464点の文書群を受け入れました。これらの新規受け入れ分を含めて、未整理史料の整理・公開作業をすすめるとともに、旧市史編集資料目録に収録されておりデータベース化されていない文書群について、尼崎の近世古文書を楽しむ会の会員有志によるボランティア協力を得てデータベース化作業を進めました。
これらの作業を踏まえて、平成22年(2010)1月、地域研究史料館所蔵の古文書・近現代文書類のうち、文書群概要および文書目録のデータを作成済みのものについて、それぞれのPDFデータを本Webサイトにアップしました。
これにより、当館までご来館いただかなくとも、Web経由で館蔵古文書類を検索していただくことが可能となりました。今後は新たに受け入れ整理した文書群のデータを順次アップしていくとともに、過去に受け入れたデータ未作成の文書群についても、ボランティアの協力を得てデータ作成と公開に努めていきたいと考えています。

歴史的公文書

(参考:「事業要覧」資料編p20「歴史的公文書保存・公開事業の概要」、p21「歴史的価値を有する公文書等収集・保存方針及び取扱要領」)
平成21年度は、例年の庁内年限廃棄公文書からの歴史的公文書選別・収集・簿冊目録リスト作成作業に加えて、史料館所蔵の公害関係文書および阪神・淡路大震災関係文書の一部を対象とする調査・整理作業、庁内各部局保存文書・資料の調査作業を実施しました。
このうち、公害関係文書(高度成長期の公害対策に関する簿冊)の調査・整理については、植木佳子専門委員の指導・協力を得て実施しました。その成果は、当館紀要『地域史研究』第110号(平成22年9月発行)に「小特集尼崎市公害関係公文書の公開に向けた取り組み」と題するレポートとして公表しています。加えて、これら公害関係文書のうち、劣化・損傷の著しい簿冊6冊を対象に、平成19年度から21年度にかけて元興寺文化財研究所に委嘱する形で修復保全作業を実施しました。また、阪神・淡路大震災関係文書の調査・整理については、文部科学省科学研究費補助金・基礎研究(S)「大規模自然災害時の史料保全論を基礎とした地域歴史資料学の構築」を実施している神戸大学文学部との連携により実施しました。

史料検索システム等

平成19年度に運用を開始したウェブ上の館蔵史料検索システムおよび、市民ボランティアのみなさんの協力を得て入力・構築したウェブ版尼崎地域史事典"apedia"(アペディア)の運用を継続しました。史料検索システムへの収録範囲は、図書、逐次刊行物、映像・音響史料および尼崎関係論文索引など未だ館蔵史料の一部にとどまっています。これを拡充し、当面地図および絵はがき類をシステムに加えるべく、平成21年度はその準備作業を実施しました。

2 ボランティア

平成21年度も引き続き、「『尼崎市史』を読む会」などの企画・運営、史料調査や聞き取り調査、史料整理およびデジタル化など各種の作業について、ボランティアのみなさんの協力を得ました。
このうち、史料整理・デジタル化作業の実績は次のとおりです。

平成21年度ボランティア作業実績
作業の種類 参加人数 作業日程 回数 延べ人数
写真整理 8人 グループ作業(月1回) 12回 延べ56人
随時個人作業 97回 延べ100人
古文書目録データ整備 10人 グループ作業(月2回) 19回 延べ66人
その他の作業 8人 29回 延べ32人
合計 157回 延べ254人

なお平成21年度は、史料整理およびデジタル化などの作業に携わっていただいているボランティアのみなさんを対象とするインタビューを実施しました。これは、尼崎市役所が全庁的な取り組みとして実施している改革改善運動の一環として行なったもので、インタビューを通してボランティアのみなさんとのコミュニケーションを図り、今後の事業に活かしていこうという意図のもとに実施しました。計13人の方にインタビューした結果、次のようなご意見をお聞きすることができました。
「史料にふれ、尼崎の歴史を学びたいという動機や、作業を通じて尼崎の歴史をアピールし、市のイメージアップに貢献したいと思い参加している」
「写真整理のグループ作業について、写真の活用公開に向けた作業工程全体のなかでのボランティア作業の位置付けがわかりにくく、作業が役立っているのかという疑問を感ずる部分がある」
「史料の整理や取り扱いについて、スキルアップの機会が欲しい」
以上のようなご意見をふまえて、写真整理のグループ作業についてボランティアと史料館スタッフの懇談・意見交換の場を設けて、史料館の側から作業の意義・位置付けや成果について説明するなどの改善方策を試みました。平成22年度以降も、作業の成果発表やボランティアのみなさんを対象とするスキルアップの場の設定などを、検討していく予定です。

3 地域研究史料館専門委員

地域研究史料館では、史料館事業全般について、調査・研究していただき、また指導・助言を仰ぐことを目的として、各分野の専門家を専門委員として委嘱しています。
平成21年度、委嘱した委員は次のとおりです。

平成21年度地域研究史料館専門委員
代表 岩城卓二
いわきたくじ
日本近世史 京都大学人文科学研究所(准教授)
副代表 市澤哲
いちざわてつ
日本中世史 神戸大学文学部(教授)
植木佳子
うえきよしこ
日本近現代史 大阪夕陽丘短期大学(非常勤講師)
垣東弘一
かきとうひろかず
教育システム情報学 園田学園女子大学(短期大学部准教授、教育研究企画部長)

市澤委員および岩城委員には、それぞれ担当の時代分野についての調査・研究や史料情報提供などを行なっていただき、また次項に取り上げる新「尼崎市史」編集事業について、刊行物準備に向けた調査事項の検討と調査の実施などをご担当いただきました。
植木委員には、主として歴史的公文書の保存・公開(公文書館事業)に ついての検討作業および文書の調査・整理作業をご担当いただきました。
垣東委員には、新「尼崎市史」編集事業の一環として実施している、『図説尼崎の歴史』Web 版データ構築に関する共同研究事業を、主としてご担当いただきました。

4 新「尼崎市史」編集事業

(参考:「事業要覧」資料編p16「新尼崎市史編集委員会委員名簿」、p23「新「尼崎市史」編集事業計画概要・同イメージ図」)
新「尼崎市史」編集事業は、尼崎市制80周年記念振興事業として平成8年度に開始し、市制100周年の平成28年度に完結予定の事業です。「学ぶ市史から調べる市史へ」を基本コンセプトに、市制100周年に向けて、歴史情報のWeb 公開と刊行物発行からなる事業計画を実施しています。
このうち、歴史情報のWeb 公開については、平成19年度から園田学園女子大学・同短期大学部との連携により『図説尼崎の歴史』Web 版構築準備をすすめており、平成21年度は同大学との間に共同研究事業契約を結んで本格的な構築作業に着手していただきました。この共同研究事業は、平成21・22年度の2か年にわたって実施し、23年度にWeb 版を公開する予定です。
また、市制100周年記念刊行物準備のための調査・検討作業を、地域研究史料館専門委員および協力者とのワーキング作業として実施するとともに、平成20年度に引き続き新「尼崎市史」研究会を開催しました。新「尼崎市史」研究会は、市民参加の開かれた場において調査・検討をすすめるべく、希望者は誰でも参加できる講座形式をとっていましたが、市民講座風の内容となってしまい調査・研究の場になじまないということで、本年度開催の第4回以降は関係者中心の少人数の研究会形式に変更しました。

第3回
7月10日参加者40人
鳴海邦匡氏(甲南大学文学部准教授)
「篠山藩青山家文書の絵図にみる畿内の河川整備事業」
井上眞理子氏(尼崎探訪家・イラストレーター)
「尼崎旧新田地帯の聞き取り、原風景マップづくり」
第4回
11月14日参加者9人
石川道子氏(神戸大学大学院人文学研究科地域連携センター研究員)
「尼崎城下の江戸積み酒造業」
第5回
平成22年3月12日参加者14人
岩城卓二氏(尼崎市立地域研究史料館専門委員、京都大学人文科学研究所准教授)
「畿内における尼崎城下-尼崎城下絵図を読み解くための視点」
中村光夫(尼崎市立地域研究史料館)
「城下町尼崎の絵図」
(宝珠院文書研究会との合同研究会)

これらに加えて、重点調査項目として平成19・20年度と2か年にわたって収集・翻刻した京都大学文学部所蔵宝珠院文書・法華堂文書(尼崎市域関係分)について、平成21年度は市澤哲専門委員および中世史専攻若手研究者有志による宝殊院文書研究会を計4回開催していただき、調査・研究をすすめていただきました。

5 講座・自主グループ等の催し

『尼崎市史』を読む会月例会

平成21年度も引き続き、『図説尼崎の歴史』をテキストとする『尼崎市史』を読む会の月例会を、毎月第3木曜日の午後6時~7時30分、中央図書館セミナー室において開催しました。第162回から第173回まで12回開催し、参加者は延べ295人でした。
例会に加えて、定例世話人会と、会員による調査研究発表・情報交換の場を兼ねたサポーターズ・サロンを計5回開催しました。

『尼崎市史』を読む会第一巻分科会

「『尼崎市史』を読む会」参加者有志が、尼崎の古代・中世史に関係する文献や論文を読み、自由な意見交換を通じて理解を深めることをめざす研究会です。毎月第1金曜日の午後6時から7時30分まで、平成21年度は地域研究史料館において11回開催し、参加者は延べ81人でした。
日本中世史の研究者・田中勇さんがボランティアとして会の指導・助言を行ない、報告は基本的に参加者の輪番です。
前年度に続き網野善彦著『平凡社ライブラリー・日本中世の百姓と職能民』(平凡社、2003年)をテキストとして「第2部職能民」の「2職能民の存在形態-神人・供御人制-」「3中世遍歴民と芸能」を読み進めました。

『尼崎市史』を読む会特別企画

地域研究史料館における史料整理ボランティア作業の成果発表と交流を意図して、次のとおり特別企画を開催しました。

タイトル
「地域研究史料館の史料-史料整理ボランティア作業の成果の紹介-」
開催日時
平成21年6月27日(土曜日)午後2時~4時
場所
尼崎市総合文化センター7-2会議室
実施内容
報告 各ボランティア作業の紹介と交流
講演 岩城卓二氏(尼崎市立地域研究史料館専門委員、京都大学人文科学研究所准教授)「尼崎藩主の書画-その背景-」
ミニ展示 「尼崎藩主の書画」
参加者
50人

児童・生徒向け「歴史ウォークラリー」

平成20年度に引き続き、中央地域(中央支所の管轄区域)内の市の事業所が連携して取り組む「はばたけ中央っ子」事業の一環として、次のとおり児童・生徒向け「歴史ウォークラリー」を実施しました。

タイトル
「歴史ウォークラリーin 築地・寺町」
開催日時
平成21年7月25日(土曜日)午前9時30分~12時
主催
尼崎市立地域研究史料館
共催
尼崎市民まちづくり研究会、中国街道・城内まちづくり懇話会、サロン・ド・サモン
協力
兵庫県立尼崎高等学校、尼崎ボランティア・ガイドの会、築地初島大神宮、だんじり保存会、尼信博物館
コース
築地・初島大神宮~小島のだんじり小屋~築地のだんじり小屋~寺町~尼信博物館
参加者
一般参加者14人、ボランティア10人、兵庫県立尼崎高等学校教員・生徒40数人ほか、計約70人

自主グループ-尼崎の近世古文書を楽しむ会

この会は、史料館が保存・公開する尼崎関係の古文書をテキストにして、近世のくずし字の読解に習熟することと、尼崎地域の近世史に親しむことを目的としています。例会の運営は参加者が中心となって行ない、解読の成果は参加者有志がデジタル入力して史料館に保存しています。
将来的に解読文のデータベースとして公開する構想のもと、史料館はテキストの選定、解読・内容調査等において助言・協力しています。

  • 第2・第4日曜日開催クラス  21回開催  参加人数延べ103人
    テキスト=西新田村小西光信氏文書「諸事願之控帳」(天保8年-1837-3月から嘉永6年(1853)6月までを解読)
  • 第2・第4金曜日開催クラス  20回開催  参加人数延べ172人
    テキスト=「幕末期尼崎藩関係文書」
  • 第1・第3金曜日開催クラス  22回開催  参加人数延べ236人
    講師=石井進さん
    テキスト=古田嘉章氏文書「時友村諸事留控帳」(弘化2年(1845)3月から天保15年(1844)8月までを解読)

(いずれのクラスも午後1時30分~3時30分、地域研究史料館会議室を会場として開催)

6 市民団体・研究機関等との連携・協力

市民、地域団体等からの要請による出講
あまがさき市民環境会議環境フォーラム、尼崎青年会議所例会、小田会歴史探訪、蝌蚪〔かと〕の会総会記念講演会(市政出前講座)、専正寺仏教婦人会・仏教壮年会待受法座(市政出前講座)、中央公民館開明分館管理運営協議会地域協働推進事業(市政出前講座)、富松城跡を活かすまちづくり委員会総会講演会、武庫会理事研修会(市政出前講座)、もみじの会例会(市政出前講座)
尼崎市・他行政機関・公的機関等からの要請による出講
尼崎市主催中核市移行記念シンポジウム、尼崎市新任職員研修、尼崎市ちかまつ・文化・まち情報課「尼崎ボランティア・ガイド養成セミナー」、 尼崎市立総合老人福祉センター総合学習教室、尼崎市立労働福祉会館文化教養事業講座、聖トマス大学図書館フォーラム、園田学園女子大学「シニア専修コース・日本史学」講義
調査・出版・催し等への史料提供等の協力
尼崎キリンガーデンシティCOCOE(壁面掲示年表への写真提供)、尼崎市立小学校社会科副読本調査編集事業、財団法人尼崎地域・産業活性化機構講演会(写真パネル貸し出し)、中国街道・城内まちづくり懇話会等主催「あまがさき城内フォーラム」および「歴史ウォーク」「歴史セミナー」、安城市歴史博物館企画展(展示史料貸し出し)、甲南大学人間科学研究所・兵庫県こころのケアセンター共同研究「子ども時代の戦争記憶に関する調査研究」、神戸大学大学院人文学研究科「博物館学習(学外学習講義)」受け入れ