尼崎市立地域研究史料館

史料館について

平成22年度地域研究史料館事業報告

1 史料の収集・整理・公開

平成22年度も、引き続き各種史料の調査・収集・整理・公開に努めました。平成22年度末現在の館蔵史料の概要は、以下のページ掲載の一覧表のとおりです。

地域研究史料館収蔵史料(平成23年3月末現在)

また、史料の利用相談(質問・調査へのレファレンス・サービス等)および、利用者向けの複写サービスの実績は次のとおりです。

平成22年度利用相談
来館 電話 e-mailその他 合計
843件 364件 174件 1,381件
1,075人 383人 214人 1,672人
平成22年度史料複写
(撮影を除く有料複写サービスの実績)
件数 枚数
534件 18,447枚
相談利用人数の変化

古文書・近現代文書類

平成22年度、新たに64件282点の文書群を受け入れました。これらの新規受け入れ分を含めて、未整理史料の整理・公開作業をすすめるとともに、旧市史編集資料目録に収録されておりデータベース化されていない文書群について、尼崎の近世古文書を楽しむ会の会員有志によるボランティア協力を得てデータベース化作業を進めました。
これらの作業により、新たに作成した所蔵古文書・近現代文書類の文書群概要および文書目録のPDFデータを、当館公式Webサイトに順次掲載しています。今後も引き続き、新規受け入れ文書群および過去に受け入れたデータ未作成の文書群について、ボランティアのみなさんのご協力を得ながら概要・目録データを作成し、公開に努めていきたいと考えています。

歴史的公文書

(参考:「事業要覧」資料編p21「歴史的公文書保存・公開事業の概要」、p22「歴史的価値を有する公文書等収集・保存方針及び取扱要領」)
平成22年度は、例年の庁内年限廃棄公文書からの歴史的公文書選別・収集・簿冊目録リスト作成作業に加えて、史料館所蔵の公害関係文書および阪神・淡路大震災関係文書の一部を対象とする調査・整理作業を、平成21年度に引き続き実施しました。
このうち、公害関係文書(高度成長期の公害対策に関する簿冊)の調査・整理については、その成果を当館紀要『地域史研究』第110号(平成22年9月発行)に「小特集尼崎市公害関係公文書の公開に向けた取り組み」と題するレポートにまとめて公表しました。
また、阪神・淡路大震災関係文書の調査・整理については、文部科学省科学研究費補助金・基礎研究(S)「大規模自然災害時の史料保全論を基礎とした地域歴史資料学の構築」を実施している神戸大学大学院人文学研究科との連携により、平成22年5月28日に「震災関係行政文書に関する整理と保存に関する研究会」を実施し、尼崎市の事例を報告しました。その成果は、神戸大学大学院人文学研究科発行『第5回地域歴史資料学研究会報告書震災関係行政文書に関する整理と保存についての研究』(平成23年3月)としてまとめられています。

史料検索システム等

平成19年度に運用を開始したウェブ上の館蔵史料検索システムおよび、市民ボランティアのみなさんの協力を得て入力・構築したウェブ版尼崎地域史事典"apedia"(アペディア)の運用を継続しました。
また、史料検索システムについては、従来の図書、逐次刊行物、映像・音響史料および尼崎関係論文索引などに加えて、平成22年6月に新たに地図のデータを加えました。今後は写真類および絵はがき類のシステムへの追加を予定しており、その準備作業を実施中です。

2 ボランティア

平成22年度も引き続き、「『尼崎市史』を読む会」などの企画・運営、史料調査や聞き取り調査、史料整理およびデジタル化など各種の作業について、ボランティアのみなさんの協力を得ました。
このうち、史料整理・デジタル化作業の実績は次のとおりです。

平成22年度ボランティア作業実績
作業の種類 参加人数 作業日程 回数 延べ人数
写真整理 8人 グループ作業(月1回) 12回 延べ58人
随時個人作業 146回 延べ146人
古文書目録データ整備 10人 グループ作業(月2回) 19回 延べ66人
その他の作業 7人 68回 延べ68人
合計 245回 延べ338人

3 地域研究史料館専門委員

地域研究史料館では、史料館事業全般について、調査・研究していただき、また指導・助言を仰ぐことを目的として、各分野の専門家を専門委員として委嘱しています。
平成22年度、委嘱した委員は次のとおりです。

平成22年度地域研究史料館専門委員
代表 岩城卓二
いわきたくじ
日本近世史 京都大学人文科学研究所(准教授)
副代表 市澤哲
いちざわてつ
日本中世史 神戸大学大学院人文学研究科(教授)
植木佳子
うえきよしこ
日本近現代史 大阪夕陽丘短期大学(非常勤講師)
垣東弘一
かきとうひろかず
教育システム情報学 園田学園女子大学(短期大学部准教授、そのだインターネットキャンパス所長、情報教育センター課長)

市澤委員および岩城委員には、それぞれ担当の時代分野についての調査・研究や史料情報提供などを行なっていただき、また次項に取り上げる新「尼崎市史」編集事業について、刊行物準備に向けた調査事項の検討と調査の実施などをご担当いただきました。
垣東委員には、新「尼崎市史」編集事業の一環として実施している、『図説尼崎の歴史』Web版データ構築に関する共同研究事業を、主としてご担当いただきました。

4 新「尼崎市史」編集事業

(参考:「事業要覧」資料編「新尼崎市史編p16集委員会委員名簿」、p24「新「尼崎市史」編集事業計画概要・同イメージ図」)
新「尼崎市史」編集事業は、尼崎市制80周年記念振興事業として平成8年度に開始し、市制100周年の平成28年度に完結予定の事業です。「学ぶ市史から調べる市史へ」を基本コンセプトに、市制100周年に向けて、歴史情報のWeb公開と刊行物発行からなる事業計画を実施しています。
このうち、歴史情報のWeb公開については、平成19年度から園田学園女子大学・同短期大学部との連携により『図説尼崎の歴史』Web版構築準備をすすめており、平成22年度は21年度に引き続いて同大学との間に共同研究事業契約を結んで本格的な構築作業を実施していただきました。この共同研究事業により構築したWeb版を、平成23年度に公開する予定です。
また、市制100周年記念刊行物準備のための調査・検討作業を、主として地域研究史料館専門委員と地域研究史料館スタッフによるワーキング作業として実施するとともに、専門委員以外の方で新「尼崎市史」のための調査研究に協力していただける方にもご参加いただく形の新「尼崎市史」研究会を、平成21年度に引き続き次のとおり開催しました。

新「尼崎市史」研究会開催実績
第6回
7月9日参加者9人
「近世尼崎の生魚取引」
中村光夫(尼崎市立地域研究史料館)
第7回
9月16日参加者8人
「古代の神戸・阪神間のミナトと海人」
坂江渉氏(神戸大学大学院人文学研究科特命准教授)
「5・6世紀における大坂湾岸の王宮」
古市晃氏(神戸大学大学院人文学研究科准教授)
「猪名川・武庫川水系の古代史」
高橋明裕氏(立命館大学非常勤講師)

これらに加えて、重点的調査対象として収集・翻刻した京都大学文学部所蔵宝珠院文書・法華堂文書(南北朝~戦国時代、尼崎市域関係分)について、平成21年度に引き続いて22年度も市澤哲専門委員および中世史専攻若手研究者有志による宝殊院文書研究会を計6回開催していただき、調査・研究をすすめていただきました。

5 講座・自主グループ等の催し

『尼崎市史』を読む会月例会

平成22年度も引き続き、『図説尼崎の歴史』をテキストとする『尼崎市史』を読む会の月例会を、毎月第3木曜日の午後6時~7時30分、中央図書館セミナー室において開催しました。第174回から第185回まで12回開催し、参加者は延べ264人でした。
例会に加えて、定例世話人会と、会員による調査研究発表・情報交換の場を兼ねたサポーターズ・サロンを計6回開催しました。

『尼崎市史』を読む会第一巻分科会

「『尼崎市史』を読む会」参加者有志が、尼崎の古代・中世史に関係する文献や論文を読み、自由な意見交換を通じて理解を深めることをめざして始めた研究会です。毎月第1金曜日の午後6時から7時30分まで、平成22年度は地域研究史料館において12回開催し、参加者は延べ55人でした。報告は参加者が輪番で担当しました。
前年度に続き網野善彦著『平凡社ライブラリー・日本中世の百姓と職能民』(平凡社、2003年)をテキストとして、テキスト最後の部分「第2部職能民」の「3中世遍歴民と芸能」「4神人と供御人」を読了しました。新年度からは戦国時代を対象として、天野忠幸著『戦国期三好政権の研究』(清文堂、2010年)をテキストにする予定です。

自主グループ-尼崎の近世古文書を楽しむ会

この会は、史料館が保存・公開する尼崎関係の古文書をテキストにして、近世のくずし字の読解に習熟することと、尼崎地域の近世史に親しむことを目的としています。例会の運営は参加者が中心となって行ない、解読の成果は参加者有志がデジタル入力して史料館に保存しています。
将来的に解読文のデータベースとして公開する構想のもと、史料館はテキストの選定、解読・内容調査等において助言・協力しています。

  • 第2・第4日曜日開催クラス  21回開催  参加人数延べ91人
    テキスト=道意新田・橋本治左衛門氏文書「諸願覚え日記」(嘉永6年(1853)6月から安政4年(1857)9月までを解読)
  • 第2・第4金曜日開催クラス  21回開催  参加人数延べ182人
    テキスト=早稲田大学図書館所蔵服部文庫「山中新右衛門関係文書」
    内容は、鴻池村山中家の存続を巡る元当主と大坂鴻池家一族の紛争を調停した尼崎藩担当者の記録です。
  • 第1・第3金曜日開催クラス  19回開催  参加人数延べ195人
    講師=石井進さん
    テキスト=古田嘉章氏文書「時友村諸事留控帳」(天保15年(1844)8月から弘化4年(1847)8月までを解読)
    見学会=有志参加による西国街道・椿の本陣(茨木市)見学会を実施

(いずれのクラスも午後1時30分~3時30分、地域研究史料館会議室を会場として開催)

6 市民団体・研究機関等との連携・協力

市民、地域団体等からの要請による出講
尼崎消費者協会総会(市政出前講座)、尼崎市民まちづくりネットワーク学習講演会(市政出前講座)、小田会歴史街道事業、崇徳院社会福祉連絡協議会(市政出前講座および、独自開催の連続学習会)、武庫之荘西地区まちづくり協議会総会(市政出前講座)、サロン・ド・サモン主催「尼崎歴史講座」(「神戸・阪神歴史講座」)、地域資料研究会シンポ事前学習会
尼崎市・他行政機関・公的機関等からの要請による出講
尼崎市新任職員研修、尼崎市女性センター・トレピエ自主グループ学習会、尼崎市社会福祉協議会(尼崎市立老人福祉センター千代木園)実施講座(市政出前講座)、尼崎市立労働福祉会館主催講座、アウクスブルク市訪問尼崎市青年使節団員研修、尼崎市大庄地区市民運動推進協議会世代間交流イベント、都市美形成建築物所有者ネット研究会講演会、園田学園女子大学「シニア専修コース・日本史学」講義、神戸大学大学院人文学研究科「地域歴史遺産保全活用基礎論A」講義、兵庫県中学校技 術・家庭科研究会懇話OB 会寺町周辺施設研修、茨城県南水道企業団視察研修(尼信博物館、寺町)、徳島県教育委員会主催「アワコウコ楽サポーター養成講座」、富山県歴史資料保存利用機関連絡協議会行政文書実務担当者研修会
調査・出版・催しへの史料提供等の協力
尼崎市女性センター・トレピエによる女性史講座関連ギャラリー企画展示、神戸大学大学院人文学研究科「文部科学省科学研究費補助金・基礎 研究(S)大規模自然災害時の史料保全論を基礎とした地域歴史資料学の構築」への調査研究協力、同「地域歴史文化連携コンソーシアム」会議への参加協力、同博物館実修事前研修受け入れ

なお、市民、地域団体等からの要請による出講のうち「尼崎歴史講座」とは、尼崎市城内地区を中心に歴史・文化を活かしたまちづくり活動に取り組む市民団体サロン・ド・サモンが開催したものです。「尼崎歴史講座」であると同時に、兵庫県域を対象とする郷土史研究団体「神戸史学会」との共催による連続講座「神戸・阪神歴史講座」の一環として、実施されました。
平成22年度、神戸と尼崎で交互に計4回開催された同講座の第2回と第4回が「尼崎歴史講座」と位置付けられ、当館は講師派遣のほか企画立案・実施過程において全面的に協力しました。

参考:平成22年度神戸・阪神歴史講座実施状況
主催
神戸史学会/サロン・ド・サモン
共催
神戸市立博物館(第1回・第3回)/尼崎市市民運動中央地区推進協議会(県民交流広場事業、第2回・第4回)
第1回
古代編
7月4日参加者113人
会場
神戸市立博物館
内容
米田雄介さん(神戸女子大学名誉教授) 「畿内の範囲-西の境界」 坂江渉さん(神戸大学大学院人文学研究科特命准教授) 「古代神戸のミナトと海人」
第2回
中世編
-尼崎歴史講座- 9月26日参加者120人
会場
尼崎市中央地域振興センターコミュニティホール
内容
伊藤啓介さん(京都大学大学院文学研究科非常勤講師)
「中世の神戸・阪神地域」
藤本誉博さん(財団法人今治文化振興会学芸員)
「中世尼崎の景観について」
天野忠幸さん(日本学術振興会特別研究員)「軍記物『細川両家記』に描かれた尼崎」
第3回
近世編
12月19日参加者80人
会場
神戸市立博物館
内容
河野未央(尼崎市立地域研究史料館)
「画像で見る近世西摂概観」
高久智広さん(神戸市立博物館学芸員)
「台場築造と大坂町奉行」
三好唯義さん(神戸市立博物館事業係長)「博物館所蔵の近世絵図資料について」
第4回
近現代編
-尼崎歴史講座- 平成23年3月6日参加者70人
会場
尼崎市中央地域振興センターコミュニティホール
内容
西村豪(尼崎市立地域研究史料館)
「建築から見た神戸・阪神地域の近代・現代」
船曵悦子さん(岐阜市立女子短期大学助教)
「戦後初期尼崎における公共建築の建設と建築家の活動」