勝尾寺

かつおじ
出典: Web版尼崎地域史事典『apedia』

  箕面市粟生間谷〔あおまたに〕にある真言宗高野山派の寺院。応頂山と号し本尊は十一面千手観音。寺記によると727年(神亀4)善仲・善算兄弟の開基、775年(宝亀6)光仁天皇の皇子開成の弥勒寺創建に始まるという。現寺号は6代座主行巡が清和天皇の病気平癒に示した効験で賜ったという。また4代座主証如は浄土教の開祖といわれ、平安後期には「聖の住所」として「梁塵秘抄」に歌われるなど、浄土信仰も早くからみられる。鎌倉期になると西摂地域との関係も生じ、1304年(嘉元2)の史料によると尼崎市域の浄土寺門跡領橘御園年貢の一部が年々同寺へ寄進されている。また降って南北朝・室町期の堂舎・大鳥居などの修造時に、榑〔くれ〕などの材木は尼崎で調達入手しており、修理にあたった技術者として尼崎番匠たちが四天王寺番匠らと活躍しているなど、当地方との関わりが知られる。

  寺宝は重要文化財5点と大阪府指定文化財5点など多数を所蔵。また旧境内に国の史跡「牓示八天石蔵」8基、1247年(宝治元)造立の町石8基が現存している。西国三十三か所札所の23番札所、近年は明治の森国定公園、東海道自然歩道の発着地となり、観光寺院として賑っている。

執筆者: 島田竜雄

参考文献

  • 『箕面市史』第1巻 1964
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