満願寺

まんがんじ
出典: Web版尼崎地域史事典『apedia』

  川西市満願寺にある高野山真言宗の寺院。山号は神秀山。本尊は千手観音。縁起によれば724年(神亀元)勝道上人の開基という。多田荘の一角にあることから、源満仲いらい多田源氏多田院御家人らがふかく帰依し、また鎌倉時代末には准勅願寺、室町時代に将軍家祈願所ともなった。中世の盛時には49院をかぞえたという。本尊や観音堂の秘仏千手観音立像はじめ多数の平安時代の仏像を蔵し、また1293年(正応6)造立の九重石塔(重要文化財)や、写本を含め93通の中世文書を蔵することは、平安時代以来の歴史を物語る。戦国時代以後、寺運はおとろえた。それでも江戸初期には小院は12院をかぞえたが、幕末には円覚院1院となった。明治初年円覚院をあらためて満願寺とし、寺観を整えて現在にいたる。山門の仁王像は「嘉暦」(1326~1329)の墨書銘をもち、もと多田院の山門にあったものである。

執筆者: 熱田公

参考文献

  • 川西市史『かわにし』第1巻 1974・7 1977
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