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    尼崎市市制100周年記念事業 「2016年の尼崎市」記録写真の実施結果について

    募集経緯

    日々移り変わる市内を撮影した写真は、地域を記録する貴重な記録史料です。尼崎市立地域研究史料館は、明治期以来の市域を記録する多くの写真を保存・公開しており、館蔵史料のなかでも、もっとも利用頻度の高い史料ジャンルのひとつとなっています。
    地域研究史料館が所蔵するいくつもの写真群を代表するコレクションのひとつが、平成24年9月に小川弘幸氏から寄贈いただいた「1964尼崎市」と題する市内風景写真アルバムです(モノクロプリント257枚、カラープリント29枚、詳細は井上衛氏執筆「小川弘幸氏撮影写真アルバム」(『地域史研究』113、2013年参照)。昭和39(1964)年当時、就職を目前に控えた大学生だった小川氏は、自分が生まれ育った尼崎市域の様子を記録しようという思いから、同年9~12月、市域を一定の間隔でくまなく撮影しアルバムにまとめました。当時の尼崎の日常風景を網羅的に記録した貴重な資料であり、また、撮影地点の書き込まれた地図とセットで寄贈されたので、どのアングルで撮影されたのかも明確であり、当館のレファレンス・サービスにおいても大変有効に活用させていただいています。
    小川氏がアルバムの写真を撮影されてから50年以上が経ち、レファレンスの際に撮影された場所が現在どのような姿になっているのかという問合せも多く寄せられるようになり、史料館でも現在の市域全体の日常風景を記録として撮影する必要性を感じていました。
    そこで、市制100周年を機に、史料館の所蔵写真として保存・活用することを目的に、「2016年の尼崎市」を記録する写真を広く一般に募集しました。その結果、平成28年7月~29年1月の募集期間中に計4,000点近い写真の応募がありましたので、ここにご紹介します。

    募集内容

    2つの部門に分けて写真を募集(提出形態は写真データ・プリント・メール)

    I 定点観測部門

    小川弘幸氏撮影写真アルバム(「1964尼崎市」)で撮影されたエリア・地点を定点観測のように撮影する写真(カラー・モノクロいずれも可)

    II フリー部門

    被写体は自由、撮影者が現在の尼崎を記録するカット・場面として撮影・保存に値すると考える写真

    いずれも2016年の尼崎市域を記録するもので、原則として応募者本人が撮影したもの、個人の肖像権やプライバシーを侵害せず、公序良俗に反しないものとし、当館において撮影者情報などのクレジットを付して閲覧・複写・二次利用してもよいという条件で応募いただきました。

    講座

    写真募集に先がけて、神戸史学会等が連続開催している神戸・阪神歴史講座の第15回(尼崎歴史講座第12回)として「尼崎市域を記録する写真史料」を開催し、本写真募集企画の広報・呼びかけの場としました。平成28年6月19日(日曜日)に尼崎市中央地域振興センター・コミュニティホールで小川弘幸氏撮影写真アルバムを紹介し、小川氏ご本人に当時の様子をお話いただくとともに、写真家の宗景正(むねかげただし)氏に関連コメントをいただきました。当日は58人の参加があり、多くの方に関心をもっていただける機会となりました。

    応募作品

    I 定点観測部門 応募2件、計209枚
    小川氏撮影写真と構図・アングルまで精緻にあわせて撮影され、小川氏写真と比べてみると、市内の風景が大きく変化したことが一目でわかる写真も数多くあります。同じ撮影地点で同方向から撮影しているため、小川氏撮影写真の現在の様子がよくわかります。過去の風景の「今」を知ることができると同時に、目の前の風景の「昔」も知ることができる楽しみもあると思われます。

    II フリー部門 応募8件、計3,710枚
    小川氏と同じように市内をくまなく歩いて撮影された写真群や、田能や武庫など市内北部の田園風景・古くからの街並みが残る市内南部の風景・神社・花火など応募者それぞれの興味関心に沿った写真、また垂れ幕やマンホールなど市制100周年記念ならではのものを被写体にした写真、パドルボートなど新しいスポットを取り上げた写真といった、多くの写真が寄贈されました。いずれの写真も、地域に対する愛着が強く感じられる、地元愛あふれるあたたかな写真です。

    今後にむけて

    応募写真は、地域研究史料館において撮影者情報などのクレジットを付して閲覧・複写に供するほか、史料館公式ウェブサイト及び当館発行の研究紀要『地域史研究』への一部掲載による紹介・活用を予定しています。
    あわせて、応募写真を使った写真展の開催も検討しています。

    応募作品の紹介