三角州

さんかくす
出典: Web版尼崎地域史事典『apedia』

  デルタともいう。多量の土砂を運搬する河川の河口付近に発達する三角形の地形。武庫川は武庫大橋付近より支流が扇形に分流し三角形の広大な氾濫原を造ってきた。甲子園球場はその西側分流の河床上に位置している。そして次第に流路が固定されてくると河口は大阪湾に向かって三角形に突出するようになった。これは武庫川が六甲北側の蓬莱峡周辺や逆瀬川流域に発生する花崗岩〔かこうがん〕質の砂礫を大量に運搬して河口付近に沈殿するためである。それは、武庫川の流水が大阪湾の静止水の中に入ると急速に運搬力を失い、粗流物質をその部分に沈殿し、細粒物質だけを沖合に運搬するからである。これに対して、猪名川は丹波山地の古生層地帯に発し花崗岩地帯を直接通過しないため、土砂の運搬量が少なく、三角州をつくらなかった。

執筆者: 藤田和夫

参考文献

  • 『西宮市史』第1巻 1959
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