北在酒造業

きたざいしゅぞうぎょう
出典: Web版尼崎地域史事典『apedia』

  北在(郷)は近世江戸積酒造仲間である摂泉十二郷の一つで、地域的には川辺郡を中心に、島下・豊島〔てしま〕・武庫・有馬の4郡に散在する江戸積銘醸地を包括した名称である。これらの地域で江戸積酒造業を営んでいた特権的酒造家が北在郷酒造仲間を形成していた。1697年(元禄10)には武庫郡西武庫村の善左衛門・武右衛門をはじめ、川辺郡の清水(現尼崎市南清水)、鴻池・大鹿・山田(伊丹市)、小浜(宝塚市)、島上郡の富田(高槻市)、有馬郡の三田(三田市)の酒造家を含み、1832年(天保3)には、北在組22か村で酒造業30軒、酒造株高2万362石余となっている。その江戸積高は1万6,823樽で、富田の清水(紅粉屋)市郎右衛門、川辺郡加茂村(現川西市)の岩田五郎左衛門などが有名であった。しかし近世後期には、灘酒造業の台頭発展によって衰退していった。

執筆者: 柚木学

参考文献

  • 神戸税務監督局編『灘酒沿革誌』 1907
  • 柚木学「江戸積摂泉十二郷酒造仲間と北在郷」『市史研究紀要たからづか』第2号 1984

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