古大阪川

こおおさかがわ
古武庫川より転送)
出典: Web版尼崎地域史事典『apedia』

  大阪湾底に堆積する沖積層の基底面を削り込む川跡を追跡することによって復元された地質時代の川のこと。1962年(昭和37)、藤田和夫等が実施した大阪湾音波探査によって明らかにされ、命名された。大阪湾の北東の半分は水深20m以内の浅海であるが、この海底面は厚さ30m前後の泥質層の堆積面である。この泥質層は大阪・尼崎平野の地下に延長し梅田層尼崎粘土層と呼ばれている。古大阪川はこれら沖積粘土層が堆積する前に、すなわち大阪湾が離水し干し上がった状態の時に、大阪盆地の中央部を流れていた大河である。古大阪川の支流は現在の武庫川猪名川の川筋と近似していたものとみられ、これを古武庫川・古猪名川という。その流路を陸地側に追跡すると、ほぼ武庫川・猪名川に接続するが、現在の淀川にはつながらず安治川筋に接続する。これは新淀川が明治にはいって掘削された川だからである。これらの川は大阪盆地中央部で明石海峡からくる流路と合流し、紀淡海峡をへて紀伊水道に抜けていたものと推定される。

執筆者: 藤田和夫

参考文献

  • 藤田和夫・鎌田清吉『大阪湾の地質』 1964 大阪湾音波探査委員会
  • 藤田和夫・前田保夫「大阪湾の“沖積層”とその基底」『第四紀研究』8 1969 日本第四紀学会
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