学徒勤労動員

がくときんろうどういん
出典: Web版尼崎地域史事典『apedia』

  第2次大戦中、軍需工場の労働力不足を補うため、中等学校・国民学校高等科生徒の勤労動員が行なわれた。政府は1943年(昭和18)6月に学徒戦時動員体制確立要綱を定め、1944年3月には学徒動員実施要綱により中等学校程度以上の学生・生徒は1年間常時動員させ得ることとした。この要綱を受けて尼崎市学徒勤労動員要綱が定められ、市立商業・工業・高女・女子商業の各学校、ついで県立校で勤労奉仕隊を編制、同年5月に市内中等学校学徒動員壮行式が尼崎中学校で挙行された。

  動員学徒は市内約30の軍需工場に分散されたほか、高等女学校生徒は市役所・郵便局にも動員された。1944年8月の学徒勤労令により対象が国民学校高等科にまで拡大され、市内の高等科生徒2,111人が動員された。近畿・中部・四国の中等学校・高専・大学からも市内の工場への動員が行なわれ、これら市外からの動員数は1944年9月20日現在で大学・高専1,386人、中等学校5,066人を数えた。勤務条件が過酷であったり、逆に物資不足で仕事がないケースもあり、生徒の欠勤の増大や思想的動揺を招く原因となった。

執筆者: 地域研究史料館

参考文献

  • 田中翠『プロペラ工場の中で』 1983
  • 地域研究史料館「大洲中学校報国隊尼崎隊職員日誌」『地域史研究』第15巻第1号 1985
  • 岡本忍「尼中生の戦中戦後日記」『地域史研究』第15巻第3号・第16巻第1・2合併号 1986
  • 武智君香「工場の花たれ塩たれ」『地域史研究』第17巻第2号・第3号 1988
  • 松原みどり「工場で迎えた卒業式」『地域史研究』第18巻第1号 1988
  • 山本加津子「悪しき年昭和二十年」『地域史研究』第18巻第2号 1988
  • 松本栄子「プロペラ工場で」『地域史研究』第18巻第3号 1989
  • 渡辺藤子「軍需工場にて」『地域史研究』第19巻第2号・第3号 1990

関連項目

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