樽屋七兵衛銀札

たるやしちべえぎんさつ
出典: Web版尼崎地域史事典『apedia』

  尼崎西町2丁目の住、樽屋七兵衛を札元とする1637年(寛永14)の銀札版木が残っている。最も古い尼崎の私札である。裏面上段に菅原道真像に梅の図柄、中段に杜甫の詩の一節と倶利迦羅〔くりから〕龍王図、下段に天下太平名君賢臣の世を喜ぶ文言を刻む。別に中段左余白に押す額面(1匁以下6種)の印と「寛永拾四三月」の印、下段左余白に押す「樽屋七兵衛」の印が付いている。貨幣経済が進んだ畿内の町場では1610~1630年代(元和寛永期)に通貨不足がみられ、それを補い貨幣流通の円滑をはかるために、町場の有力町人の信用による私札の発行がみられた。樽屋銀札はその一例である。ほかにもう一つ同銀札の版木が残っている。大黒天像・「君が代」の古歌、「銀壱匁」「摂津国尼崎銀札」「樽屋七兵衛」の文字を刻む。形状からみて、1660~1670年代(寛文延宝期)の私札とみられる。

執筆者: 八木哲浩

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