治田寺阿弥陀如来坐像

じでんじあみだにょらいざそう
出典: Web版尼崎地域史事典『apedia』

  戸ノ内町の治田寺阿弥陀堂の本尊。像高は138cm、ヒノキ材による寄木造りで内刳〔うちぐ〕りがほどこされ、後補による漆箔仕上げとなる。螺髪〔らほつ〕も眼も彫出されているが、螺髪の群青〔ぐんじょう〕塗りも後補である。腹前で阿弥陀定印〔じょういん〕を結び、蓮華座(後補)の上で両足を交差させて端坐するいわゆる結跏趺坐〔けっかふざ〕の姿をとる。まるみを帯びて均衡のとれた体躯や、おだやかな面相の表現は、11世紀中葉に和様彫刻の様式を確立した定朝の流れをひくものであるが、衣文の一部に見られる肉の厚い彫出や、温雅な相貌の中にただよう理知性は、この像の制作期が鎌倉時代に近い12世紀後半であることを示している。1976年(昭和51)兵庫県指定文化財となった。

執筆者: 磯博

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