ジェーン台風

ジェーンたいふう
出典: Web版尼崎地域史事典『apedia』

  1950年(昭和25)9月3日に阪神間を直撃し、戦前の室戸台風に匹敵する被害をもたらした。8月28日硫黄島付近に発生し、紀伊水道を経て9月3日午後1時神戸市東部に上陸、兵庫県東部から若狭湾に抜け、日本海を通過して北海道を横断した。神戸では午後1時10分に最低気圧964.3ヘクトパスカル、午前12時20分に最大瞬間風速48mを記録した。

  市域では午前11時ころから暴風雨圏内に入り、12時前後に最大瞬間風速44mを記録、さらに午後に入って風向が東から南西にかわるとO.P.(大阪湾最低潮位)3.6mの高潮がおしよせ、午後3時には阪神国道以南一帯が冠水、小田地区では東海道線まで浸水がおよんだ。初島では家屋の2階中程まで水位が上昇するほどであった。

  この結果市域では、死者・行方不明28人、重傷18人、軽傷者210人、家屋流出196戸、全壊473戸、半壊7,410戸、床上浸水18,679戸、床下浸水6,951戸、罹災者数24万1,933人の被害があった(『尼崎市史』第12巻)。高潮潮位は室戸台風時(O.P.4.7m)よりも低かったにもかかわらず、浸水面積・戸数のいずれも大きく上回り、周囲に防潮壁をめぐらしていた臨海部の工場群も多くは浸水、尼崎商工会議所は被害総額143億9,920万円と算出した。このように大きな被害をもたらした原因は地盤沈下の一層の進行にあり、防潮堤の建設と工業用水道の敷設が焦眉の課題とされるに至った。

執筆者: 地域研究史料館

参考文献

  • 「ジェーン台風直後の緊急臨時市議会」『地域史研究』第14巻第3号 1985
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