伊丹礫層

いたみれきそう
出典: Web版尼崎地域史事典『apedia』

  尼崎平野の地下には尼崎粘土層が広く分布するが、その下に厚い顕著な礫層がひろがっている。尼崎港付近では地下50m付近にあり、北にむかって次第に浅くなる。JR尼崎駅付近で-20m、塚口駅あたりで地表にあらわれ、それより北では台地をつくる。伊丹段丘はこの礫層が堆積した地形面であり、この礫層を伊丹礫層と呼ぶ。本礫層は拳大の花崗岩〔かこうがん〕の礫を多数含んでいるので、古武庫川氾濫原ないしは三角州の堆積物である。その垂直的分布を見ると、伊丹段丘北端では標高40mを越えるが、その南端は大阪湾の海底下に延び大阪港付近に達する。そしてこのように南に傾斜するとともに、北東から南西方向に緩やかに傾動している様子がうかがわれる。伊丹礫層の年代についてはいろいろの見解があったが、伊丹市街地のある段丘の状態が六甲南東麓の上ヶ原段丘の延長と見られることから、中位段丘に属し、10万年前後の形成とみられる。伊丹礫層は軟弱な沖積層の下に広く分布し、よくしまっていることから、尼崎平野下の支持層として重要で、尼崎市内の大きな構築物は尼崎粘土層を抜いて、本層に基礎をおいている。

執筆者: 藤田和夫

参考文献

  • 『伊丹市史』第1巻 1971
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