銅鐸

どうたく
出典: Web版尼崎地域史事典『apedia』
銅鐸の出土地
銅鐸の出土地

  弥生時代に農耕祭祀に使われたと考えられる青銅製の祭器である。釣鐘のような形をしているが、その釣り手の部分の退化にもとづいて、菱環鈕式〔りょうかんちゅうしき〕・外縁付〔がいえんつき〕鈕式・扁平〔へんぺい〕鈕式・突線〔とつせん〕鈕式の4型式に大別されており、この順番に作られた。古い型式は、舌〔ぜつ〕とよばれる棒を中につるし、これが銅鐸の内面にある隆帯(内面突帯)を打つことのよって音を発したことが、内面突帯が著しくすり減った伊丹市中村出土鐸などからわかる。新しい型式になると銅鐸は次第に大型化すると同時に、大きな飾耳〔かざりみみ〕などがつくようになり、見た目の効果が重視されるようになる。

  尼崎市内からは、銅鐸は出土していない。しかし、周辺地域からは、外縁付鈕式以降の各型式が出土している。そのうち最も古い型式は、外縁付鈕1式の伊丹市中村鐸と宝塚市中山1・2号鐸、神戸市桜ヶ丘1・2号鐸であり、最も新しい型式は突線鈕5II式の川西市栄根鐸である。この地域から出土した銅鐸には古い型式が多く、突線鈕式は比較的少ない。これは、畿内全体で共通する特徴である。これについては、「銅鐸の祭」から古墳時代へと続く「鏡の祭」への移行が、畿内では他地域よりも早い段階ですでに始まっていたからであるとする解釈がある。いずれにせよ、弥生時代の終わりまでに、銅鐸の多くは集落から離れた場所に明確な施設も作らずに埋めたまま放置されてしまう。

尼崎周辺地域出土銅鐸

型式出土地出土数
外縁付鈕1式伊丹市中村1
外縁付鈕1式宝塚市中山2
外縁付鈕2式芦屋市打出1
外縁付鈕2式神戸市森1
外縁付鈕2式豊中市桜塚2
外縁付鈕1式
~扁平鈕式
神戸市桜ヶ丘14
扁平鈕式西宮市津門1
扁平鈕式神戸市渦ヶ森1
扁平鈕式神戸市本山1
扁平鈕式神戸市生駒1
突線鈕2式川西市満願寺1
突線鈕3式箕面市如意谷1
突線鈕5II式川西市栄根1

関連項目

執筆者: 難波洋三

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