生揚醤油

きあげしょうゆ
出典: Web版尼崎地域史事典『apedia』

  「諸白〔もろはく〕・澄み酒」として天下に名声を博した伊丹酒造家のうち、綛〔かせ〕屋一族中の舟屋大塚家は応仁期(1467~1469)から酒造に加えて醤油造りを営んだと伝えられる。1690年(元禄3)には醤油販売量の増加にともない運輸に便利な大物〔だいもつ〕に醤油専用蔵を設け、1751年(宝暦元)には伊丹を引き払って尼崎に移り醤油専業となった。この舟屋大塚家が、寛延年間(1748~1751)に酒造技術を応用して、現在の汁醤油(日本醤油)の技法を生み出したと考えられる。当時のいわゆる「たまり醤油」製法に対して、麹室でわずか4日間で麹を造り、さらに十水〔とみず〕(原料10石に対して10石の塩水で仕込むこと)以上の薄仕込とし、アルコール発酵を行って豊かな香味を実現した。その後も改良を重ね、京印の大塚茂十郎本店などで名品とされた「尼の生揚醤油」を生み出すに至ったが、第2次世界大戦中の原料統制により1942年(昭和17)をもって製造中止、1985年に「尼の生揚醤油保存会」の手により復活した。

執筆者: 川田正夫

参考文献

  • 川田正夫『尼の生揚ものがたり』 1987 尼の生揚醤油保存会
  • 川田正夫『日本の醤油』 1991 三水社
  • 川田正夫「醤油と尼崎」『大阪春秋』第58号 1988 大阪春秋社
  • 川田正夫「尼崎と醤油」『地域史研究』第23巻第2号 1993
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