醤油

しょうゆ
出典: Web版尼崎地域史事典『apedia』

  尼崎における醤油製造の起源は、その創業が1690年(元禄3)とも1801年(享和元)とも伝えられている大物町大塚茂十郎の醤油製造所と考えられるが、必ずしもその明確な史料はない。しかし、醤油製造は江戸後期には尼崎の特産として栄えた。1874年(明治7)の兵庫県物産表によると尼崎町別所村などから成る第9区の工産物総額6万5,400円のうち醤油は43.4%、2万8,387円を占め、また当時の県(摂津5郡)の醤油産額にたいしても43.6%となっている。その後1893年には15工場、1万1,186石、5万5,063円、さらに1904年には1万8,500石、26万円余、1928年(昭和3)7月~1929年6月には2万3,774石、89万円余に発展した。尼崎特産の醤油は生揚醤油と呼ばれ、その品質は濃厚甘口で、国内のほかアメリカ・清国・台湾などに輸出された。1907年岩下清周・松方幸次郎らが日本醤油醸造を設立し、尼崎向島に大工場を建設したが、1910年同工場が火災にあったので、同社は解散した。

執筆者: 山崎隆三

参考文献

  • 富田重義・前川佐雄『尼崎市現勢史』 1916 土井源友堂
  • 川田正夫『日本の醤油』 1991 三水社
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