深夜業廃止

しんやぎょうはいし
出典: Web版尼崎地域史事典『apedia』

  1929年(昭和4)7月1日実施。戦前我が国の基幹産業であった紡績業における若年・婦人労働者の深夜業は、早くから社会問題化し、国際的にも非難が高まるなか1923年(大正12)改正工場法が成立した。しかし、資本家団体の抵抗で実施時期が延長され、1926年の勅令で猶予期間3年の後実施された。婦人と15歳未満労働者の徹夜(午後10時~午前5時)作業禁止が骨子。紡績業のみ特例として午後11時までの操業が認められた。尼崎では大阪合同紡績神崎工場、大日本紡績尼崎工場が法定期限3か月繰り上げて1929年4月1日実施に踏み切ったが、尼崎紡織労働組合合同支部(総同盟)は、深夜業廃止にともなう賃金低下に反対して5月3日から争議に突入。全国的にも注目された争議だったが、翌月の天皇行幸を控えた警察の干渉もあり要求撤回・指導者60人解雇・解雇手当1万5千円支給で9日決着した。戦後、労働基準法施行で紡績業への特例は廃止され、制限年齢も18歳とされた。

執筆者: 久保在久

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